総論

行動障害とは①

こんにちは、つちのこです。

ここでは、自閉症の方の多くに現れる行動障害についてまとめます。

しかし、行動障害については一記事でまとめられる量ではないので、いくつかの記事に分けてお話ししたいと思います。

今回は、ざっくりとした内容になります。

行動障害とは

行動障害とは、医学的に診断されるような障害の名前ではなく、特定の行動が繰り返される状態のことを言います。

その行動とは、自傷や他害、破損行為、異食、睡眠障害、強いこだわりなどの本人や周囲の人々の暮らしや安全に影響を及ぼすもののことを言います。

特に、その頻度や強度が高く、特別に支援が必要な状態を強度行動障害と呼びます。厳密には状態に合わせた支援を提供するための障害支援区分の行動関連項目で、24点中10点以上であれば強度行動障害とされています。

とはいえ、大小強弱あれども、家庭生活や地域生活において彼らの生きづらさにつながっていることには変わりありません。

できる限り軽減し、取り除いていくことが豊かな生活につながります。

どういった状況で起こるか?

行動障害の起こる原因はさまざまですが、状況としては彼らが「困っている」時と考えて良いと思います。

例えば

  • 先の見通しが立たず不安
  • 苦手な場面に遭遇した
  • 苦手な音や人に接している
  • いつも失敗してしまう状況にある
  • 初めてのことで緊張している
  • そしてそれらが訴えられない、理解してもらえない

などが考えられます。

それぞれに「分かりにくさ」を抱える自閉症のある方は、生活のあらゆる場面でこういったことを感じられています。

そういったことに起因する、ということを押さえておいてください。

行動障害に対する支援

まずはアセスメント

行動障害は彼らの「困り感」が行動化したものと言えます。

苦手な状況や、大変さを訴えられない、伝えられない中で、どうしようもなく出てくる行動です。

そんな彼らの応援には、まずは綿密なアセスメントが必要となります。

どんなことができてどんなことが苦手なのか?

何がわかって何がわからないのか?

どんな時に行動障害が起こるのか?

などを調べて、どんな時にどんなことで困っているのかを知ることができます(アセスメントについては、また別途記事にしたいと思います)。

それを元に、支援を組み立てていきます。

難しい言い方をしなければ、その人、その子のことを知って、「なんでだろう?」に思いを馳せることが大切です。「もしかしてこう思っているのかな?」「ひょっとするとこれに困っているのかな?」と色々と仮説を立ててみてください。

細かな能力把握はプロの手を借りるのがいいと思いますが、生活の至る所で起こる行動障害のその理由を考えるに当たっては、やはりご家族や普段から接している方の方が情報量が多いはずです。

支援方法

アセスメントで得た情報をもとに、一人ひとりに合わせた、その人専用の支援を展開していきます。

その方法は一つではありません。

どんな手法を選ぶかについては、その人に合っていることが大前提ですが、支援観や自閉症観、本人を取り巻く環境で実行可能かどうか、ということを考えなくてはなりません。

構造化

さまざまな支援方法がありますが、その中でも有効であると言われているのが構造化です。

言葉だけでは少しわかりにくいかもしれないですね。

一つの例として、さまざまな分かりにくさを抱える自閉症の方ですが、視覚情報、つまり見たもの・見えるものについては比較的理解がしやすい傾向にあります。

例えば

  • 目に見えない時間→スケジュール表
  • 言葉で理解できないもの→実物や写真、絵カード
  • 何をすべきかわからない→場所によってすべきことを固定
  • そうすればいいかわからない→手順書

など、目に見えないものやことを「見える化」する視覚支援などが構造化の一つになります。

自閉症のある方は、先の見通しがつきにくいことで不安を感じやすい傾向にあります。

言葉で理解しにくくても、目に見える形で理解して安心できたり、何をすべきかもわかります。

その代表的な手法としてTEACCHプログラムがあります。

こちらについても、いずれ解説していきたいと思います。

その他の手法

その他の支援手法もありますが、ひとまず名前だけ挙げておきます。

  • SST(ソーシャルスキルトレーニング)
  • 認知行動療法
  • ABA(応用行動分析)
  • 受容的交流療法
  • etc…

PDCAサイクルを回す

実際に支援をしていく上で、PDCAサイクルが重要になってきます。

PDCAサイクルとは計画(Plan)実行(Do)評価(Check)改善(Action)のサイクルを回していくことです。

アセスメントを通して支援計画を練り、実際に支援し、評価して改善し、また計画につなげていきます。

成長もあれば調子が悪くなることもありますので、うまくいった支援を繰り返すのではなく、その時の状態や状況に合わせた支援をその都度提供する必要があります。

その為にも、常に見直し、改善していく事が求められます。

これは行動障害に対してだけでなく、支援全般でも同様です。

最後に

ここまで、行動障害とその支援についてについて簡単に書いてきました。

今後は、ここで触れてきたことについて細かく見ていきたいと思います。

最後に一つ覚えておいていただきたい事は、支援の目的は「行動障害を避けること」ではないということです。

必要なのは、「行動障害をしなくても済む」ようにすることです。

行動障害とは、自閉症の根本の障害特性ではなく、あくまでも二次障害です。

行動障害をなくし、生きやすくなったその先にある、彼らのやりがいや生きがいを応援することが、本来の支援です。

どうしてもその大変さや対応の難しさに目が入ってしまい、行動障害をどうにかする事が主題になってしまいがちです。

特に家庭生活を送られている場合、ご家族はそこで疲弊してしまうことも多いはずです。

なのでそう言う時は療育のプロを頼って欲しいです。

そして、療育を行うプロは、行動障害にとらわれることなく、その人の人生が幸せで豊かなものになるような応援を常に考えていく必要があります。

今回は、ここで終わります。

読んでいただき、ありがとうございました。